「篠山通れば笹ばかり」とは徳島の阿波踊りの一節ですが、篠山には至るところに、竹藪があります。 篠山の竹の特長は雲紋竹と呼ばれる竹に模様が付いていることです。近江地方に少し似た竹があるものの篠山にしかない竹といわれています。 この根を他の地方にもっていって植えても雲紋竹にはならず、篠山の気候と風土によって作られているのは山の芋などの特産と相通じるものがあります。 箕浦竹甫さん(南新町)はこの雲紋竹を使い竹細工を芸術の域に高め、その技術は篠山市の指定無形文化財に指定されています。 箕浦さんは1934年東京に生まれ、戦後、両親のふるさとへ戻ります。篠山中学を卒業すると農業高校に通いながら竹細工の道を歩み、田辺一竹斉さんに師事し、日本現代工芸展、日本美術展など次々と受賞しました。 |
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(写真:雲紋竹による見事な竹籠) |
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篠山城跡の南堀沿いの歴史を感じさせる屋敷群を覆うようにして竹藪が約1ヘクタールほど広がっています。この竹藪こそ「箕浦の竹」といわれる雲紋竹群です。篠山盆地に200カ所ある雲紋竹の竹藪の中でもっとも大きな竹藪でもあります。 この雲紋竹はもとは篠山城趾にあったものを廃藩置県の後、箕浦さんの祖父が「いつか篠山の新しい時代の名産にと」この地に植えたといわれています。 竹の種類は300もあり、竹工芸に使われるのはこのうち約10%です。竹細工としての竹は日本でも丹波地方が最も優れているともいわれます。これ以上暑すぎても柔らかく、虫が食いやすく。寒くても固くなるのです。 「竹は今まで生活に深く深くとけ込み、それゆえに芸術性として省みられることが少なかった。今また竹を生業にしているものも消えつつある。竹を今までと違った現代風の作品に。竹の新しい使い方をもっと生み出していきたい。そして若い人が竹細工の良さを知ってもらえれば」と語っています。 箕浦さんの匠としての優れた技術と伝統の美をなんとか後世に伝えたいという人々の動きも盛んです。 2001年5月17日から1週間神戸大丸で個展。同じ5月新工芸展覧会(東京)へ出品。6月ひょうご県民会館での兵庫県工芸作家協会の展覧会にも出品することになっていますので、ぜひ一度篠山のもう一つの文化を鑑賞してみてください。 (写真右:雲紋竹の中にこの竹藪を作った箕浦さんの祖父の像) |
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2001年3月第32回日展会場(大阪市)での風景。箕浦さん(前から2段目ほぼ中央)と6回目の日展入選の祝賀会に駆けつけた同窓生の皆さん(加古川在住内藤さん写真提供) |
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※この記事は2001年3月に掲載されたものです。 |