たんばの昔話編集委員長 ホタルの里づくり |
■子どもたちに伝えていきたいこと | |
田中貞典さん(1929年篠山市曽地中生まれ)は、39年間教員を努め、退職後も精力的に社会活動に励み、たんばの昔話編集委員長として昔話の『語り部』、またホタルの里づくりとしての自然環境の保護活動に従事されています。 昔話が今なお語り継がれているのにはわけがあるといいます。「昔話には、人が喜ぶこと、悲しみ、そして自然との関わりなど人間として大切なものが底流に流れている」 「昔話の伝承の語り部として感じることは、最近の少年犯罪にみるにつけ、子どもたちに夢を見てもらいたい。人間としての肥やしになれば」と話されます。篠山市出身で現文化庁長官、河合隼雄さんが著書の中で子どもの時に残虐な話を聞いておいた方がよいと書かれてあることに感銘を受けたと言います。かちかち山、舌切り雀などあるいはイソップ童話など本当は非常に残虐なところもあるが、最近の童話はこれらを改編し受け入れられやすくしているとのこと。 昔話はこれまで年寄りから孫へ、親から子へと語り継がれてきました。今のようにゲームやテレビ番組もなかった頃、年寄りが夜なべをしながら子や孫へ伝えた昔話。唯一の娯楽として昔話に耳を傾ける子どもたちは、想像力を身につけ、人間の本質を自然と学んでいったのです。 田中さんは、地域の仲間とともに昔話を掘り起こし、自慢の筆をふるいながら紙芝居の作成することによってこの昔話を伝承し復権しようとしています。 田中さんは、自然環境の保護の分野でもホタルの里づくりとして運動を続けてきました。源氏ボタルは、環境に敏感で、自然環境を守ることが第1といいます。川岸の草刈りをしたり、一人でも多くの人にゆっくりとホタルを観賞してもらえるよう看板やベンチを設置。ベンチには河川を美しく、清流を下流へ送る心がけ、ポイすてやめようなどのステッカーをベンチにとりつけ、河川及び環境美化に努めています。 コンクリートで固める川の護岸工事は、大切な自然環境を破壊することになるとかなり以前から、警告を続けてきました。その甲斐あり、最近では自然に配慮された工法が取り入れられるなど、またホタルも徐々に増えるなどして、活動の成果は上がりつつあります。 しかし、乱獲する者が後をたたず、『獲らないで』と看板をつけると、逆に取るものを誘発したりすることもあるそうです。 ▼篠山の民話集はこちら |
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※この記事は2003年6月に掲載されたものです。 |