篠山の方言アラカルトーぴっとだけ、おっけぇな

今回は、個人的に最もかわいらしいと思う言葉のひとつ「ぴっとだけ、おっけぇな」を御紹介します。
幼い頃に父親が美味しそうに食べる「酒のあて」をおねだりする際によく使ったものです。すると父親は「しゃあないのぉ、ぴっとだけやじょ」と言ってこころよく(今から思えばしぶしぶ)その「酒のあて」をくれたものでした。
ここまで書けば大体の意味はおわかりになると思いますが、「ぴっとだけ」は「少しだけ」そして「おっけぇな」は「ちょうだい」という意味の言葉です。
とくに「ぴっとだけ」の「ぴっと」というのは全国的に使われてもいいような気がします。なぜなら、それはまさに英語の「リトル・ビット(Little Bit)」の「ビット」に近く、標準語の「ちょっぴり」にもどこか関係があるような、ピュアでクリアーな響きがあると思うのです。
また、「おっけぇな」の「おっけ」に関してはイントネーションの違いだけでまるで違う意味になってしまいます。この例のように「ちょうだい」の意味のときは、尻上がりで使い、逆に尻下がりで使うと「~は居るのか」という、目下もしくは動物の存在を確認する意味の言葉になってしまいます。
最近、幼い子ども達の使う言葉が、どことなくメジャーになってしまい我が心の中にある篠山らしい響きが少なくなって寂しいかぎりです。
「少しだけちょうだい」と言われるより「ぴっとだけ、おっけぇな」と言われるほうが、心和むのは私だけでしょうか・・。
 

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