篠山の方言アラカルトーこのスイカてげとるにぃ

スイカを食べるなら何といっても井戸でたっぷり冷やしたスイカを蝉の鳴き声を聞きながら「えんな」でむしゃぶりつくのが最高です。
決して一口サイズに可愛くカットして洒落たグラスで召し上がるのはスイカに失礼というもの・・。
しかしそんな情景にここ何年もお目にかかっていない。まず井戸のある家庭が減ってきているし、「えんな」つまり「縁側」のある家庭も少ない。
いや、あったとしても物置になっているのが一般である。そう言えば蝉しぐれもここ最近どことなく活力がない。そして母親が井戸から引き上げたスイカを惜しげもなく菜切り包丁で「スッパ」と切り、「なんじぇー、このスイカてげとるにぃ」の声もあまり聞かなくなった。
最近のお母さん達からはきっと「まぁ、このスイカ、中が割れてるわ」とか「ほんと、甘くて美味しいね」などと私には少々歯の浮くような言葉が出てくるだろう。ここまで書けばお分かりになるでしょう。「てげる」とは「われる」意味で、スイカに限らずごく一般に使われているものです。
お皿を割ってしまった時に「えらいこちゃ、おてっしょげてしもたにぃ」と即座に言えればもうあなたは立派な篠山人です。そして慰めには「だんない。サラこうたらええやれぇ」と言うのです。
最後にこの「サラ」というのは「皿」のことではなく、「新しいもの」の意味で、また「だんない」とは「気にしなくてもいい」の意味ですよ。
 

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