篠山の方言アラカルトーお酒、おっけぇな

どこか背中に哀愁を感じさせる男達が町の小さな居酒屋で「お酒、おっけぇな」、遊び疲れた子ども達が母親に向かって「何か飲むもん、おっけぇな」、給料日前の寂しいころに拝み手で奥さんに「ちぃと、小遣いおっけぇな」。
幼い子どもから大人に至るまで幅広く使われるこの「おっけぇな」。~を下さい、頂戴といった意味なんですが、どことなくかわいい響きを持っているのが、たまらなくいいんです。
夏も終わり仕事や遊び、またデカンショ祭の準備等、からだはすっかり夏バテの時期、馴染みの店で「お酒、おっけぇな」と言うことで元の調子に帰ろうと努力している人達は私を含め結構多く居られます(篠山ではおってやで)。
また、お店で買い物するときも気軽に「~おっけぇな」と言える篠山の商店のほうがどこかの大きく冷たい店よりやっぱり人間味があっていいなと思います。
消費者調査では「篠山の商品は高い」とか「古い」とかあるいは「販売人の態度が横柄だ」とか、その他篠山の商店を徹底的に攻撃する多くの無記名の投書がありますが、そういった消費者を名乗る方に限って、都会の冷たいお店で無言のままワゴンに山積みされた商品をお買いになったり、標準語を話す販売員にうまく高い商品を買わされておしまいになるのです。
これは標準語、いや東京弁なる方言を最も美しい言葉だと思いこむ一種の方言コンプレックスが招いた喜劇でしょう。
どの地方にもその地方独特の言葉や言いまわしがあり、それのみを使うことがベストとは思いませんが「篠山弁イコールださい」と若い奥様方やその子ども達の間でなりつつあるのは寂しいかぎりです。
もしも町のお店で買ったものに不満があったときは一度こう言ってみてください。「もうちぃと、ましなもんおっけぇな」
 

このページの先頭へ戻る