篠山の方言アラカルトーどうぞこうぞやってます
ダ行とザ行の区別がややこしい我が篠山ならではのあいまいな発音が特徴のこの「どうぞこうぞ」。
「どうどこうど」なのか「どうぞこうぞ」なのか文字にすること自体難しいこの言葉は、久しぶりに出会った同級生に近況を聞かされた時、また不幸があった何日か後で御近所からお悔やみの言葉があった時、或いは鍋料理の煮え具合を聞かれた時等の返答に必ずと言っていいほど使われます。
それは具体的に「どうそこうぞやっとんねや」「どうどこうぞかたづいたわ」とか「どうどこうぞ煮えとるわ」と言う形を取ります。(時によっては後半の「う」を省いて「どうどこぞ」に変化します)
意味は「どうにかこうにか」「大体」とでも訳せば最も近いと思います。大阪弁の「ぼちぼち」にも通じる言葉の持つ微妙なあいまいさは時代の流れに関係なく人間関係には必需品なのかも知れません。つまりは日常会話の中での相手に対する謙遜、また逆に心の奥を探られまいと適当にあしらいたい気持ちをソフトに表現したいときにこのような言葉が使われるのです。
「最近どうしている?」と聞かれたとき「昨日は○○へ行って△△してから××さんと出会って・・」などと電子手帳のスケジュールを読み上げるより「どうどこうぞやってんねや」と軽く挨拶がわりに初めてから次の会話に入った方がコミュニケーションがはかれるし、また「お鍋煮えた?」と聞かれたとき「いまちょうど98度なのであと2度上がるまで待った方がいいと思うよ」と答えるより「どうどこうぞ煮えとるわ」と短く答えた方が後のお鍋の味が活きてくるというものです。
普段なにげなく使っているこの「どうどこうぞ」を考えると今さら何がファジーだと言いたくなる。ファジーファジーとマスコミで騒がれる以上にある意味で私たちはファジーだったのかも知れない。
そういえば町のあちらこちらで「篠山名物〇〇ラーメン」「篠山特産××そば」「篠山名産△△まんじゅう」なる篠山の2文字を差し替えるだけで全国各地の名産や特産になってしまう出所不明のファジーなおみやげも年々増えてきました。こればかりは業者のモラルに任せるだけですが「どうどこうぞ特産」であってほしくないと願う今日このごろです。
しかし、篠山を喰いもんにしている観光業者はこう言うでしょう。
「そないたいそに言わんでも観光客にはどうぞこうぞうれてまっかいに」