篠山の方言アラカルトーなんどあんぎょか
ずっと昔の夏休み、最初の3日間はすることが一杯で楽しいばかりですが、塾もファミコンもなくそのうち退屈さにグズグズ言いだすのが、ごく一般の子どもたちでした。こんな子どもたちにお似合いのお母さんは「なんどあげっさかいに、おとなししとり(おやつを上げるから、お利口にしてなさい)」と少々口調を荒くします。しかし、おとなしくしてるのも束の間、「もっとなんどおおっけぇな(もっと、おやつ頂戴)」と返してきます。
これにはお母さんは、黙ったままで聞かぬふり。
そこへおばあちゃんが「わしが、なんどあんぎゃか(おやつでもあげようか)」と小声で突然参加してきます。
「さいぜん、やあとっやたさかい、おばあちゃんは、やらんとて(今たくさん与えたばかりだから、おばあちゃんは与えないで下さい)」
「なんじぇ、そうけ、知らんかったにぃ」という嫁・姑の立場や関係は、子どもたちにはどうでもよく、ただ「なんど(おやつ)」をもらったり、買ってもらえさえすればよかったのです。
こんな「なんど」をめぐるセピアカラーの家族関係は時代と共に変化し、少々の「なんど」では満足しない子どもと、真心より価格で「なんど」を与える親。「もの」を経由しなければ成り立たなくなった親子関係。
「なんどおっけぁな」とせがむ子どもたちにあなたは何を与えますか?