民話と伝説ささやま-日置の六本柳 ■上宿

正暦のころというから千年も昔のこと。

源頼光は勅命により、坂田金時、確井貞光、占部季武、渡辺綱、藤原保昌を従えて大江山の妖鬼を退治に行く道すがら、三岳の宝塔を拝し成功を祈った。そして持っていた柳の枝をその路傍にさしたものが、6本とも芽を吹き大樹になったものと言い伝えられている。

これについて、正徳6年3月、再修された「篠山封彊志」によると、「樹凡六株大各数囲枝葉如車葢俗言源頼光将討大江山賊道過此里遥拝畠宝塔山折柳枝挿路傍相祝而去案頼光討大江山鬼事前史所未聞」とある。

また、文化11年(1814)2月、伊能忠敬の測量日記に「往来道端ニ柳六本アリ源頼光丹波国大江山発向ノ時馬ノ鞭ヲ此所ニ挿シ玉ヒシニ年ヲ経テ大樹トナリテ其柳樹ハ枯レテ今ノ柳ハ三度目ナリト云」と書かれているとのこと。

とにかく、胸高幹囲3.7メートルもあった、ただ1本の大柳は「六本柳」と称され親しまれてきたが、寄る年なみに遂に昭和49年(1974)この巨木は枯死した。地元の人たちは此を惜しみ、その場に記念碑を建てた。

なお、現在ある1本(胸高幹囲2メートル)は、大正4年(1915)に5本を補植した内の1本が育っているものという。

「篠山町百年史」より

日置六本柳の写真

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