民話と伝説ささやま-沢田の大蛇退治 ■沢田
多紀郡の三大奇祭の一つと呼ばれる「鱧切り祭り」が伝承される。篠山町沢田に所在する八幡神社で、毎年10月に祭礼が行われる。
八幡神社は、前沢田、北沢田、河原町の3集落が氏子であるが、現在「鱧切り祭り」を実施しているのは、前沢田と北沢田だけである。北沢田では昔から祷家(とうや・当家)で実施されてきたが、現在では公民館で行われる。
「沢田」の地名は、弥生時代の末期頃から古墳時代にかけて、この辺りが沼沢地で、葭や萩などが自植している土地を、農地に開墾したのであろう。したがって北沢田、前沢田、東沢田等の「沢田」の地名が残ってきたと思われる。その沼地には大蛇が生息しており人々に危害を加える等、何とか退治したい農民の願いが、祭礼の中に、田楽や歌舞伎などの演劇の流行と交わりながら、江戸中期頃に、現在見られる「鱧切り祭り」として伝承されてきたのでないだろうか。
沢田八幡神社例祭
場所 篠山町沢田
時期 毎年10月
大昔大蛇が村人を困らせていたが、ある日旅の侍が退治したと伝えられ、はもを大蛇に見立て退治します。芸能要素と神と人間の、年に1度の接触を尊ぶ神事。丹波多紀の三奇祭はも祭として注目を集めています。
「丹波の祭りと民俗芸能」{丹波文化団体協議会編・神戸新聞総合出版センター)から