上立町・本篠山バス停から徒歩約10分旧篠山城下町の東端にある小丘陵全体が「王地山公園」で、桜と紅葉で知られ、緑も多い。
平安遷都を前に、王城候補地の一つに選ばれたことから「王地山」と名付けたという。
また、篠山築城の際にも、笹山・飛の山とともに候補にあがったのである。
西側に、赤い鳥居が建ち並ぶ長い石段が続いている。途中に、誰が建てたのか芭蕉の句碑がある。登りつめたところに、2代城主松平信吉が元和5年(1619)、常陸国土浦から、「本経寺」とともに移した「王地山稲荷神社」があり、手前には「負け嫌い稲荷」が土俵の上に祭られている。頂上には、西園寺公望の筆による「孤松台」という碑と近くに「天下将節発祥地」という碑が建ち、南側には「観音堂・大悲閣」がある。
東の谷が紅葉谷と呼ばれ、その向こうは伝下山で、土豪川原伝下の館があったことによるという。あたりの風情にとけ込んで、国民宿舎「ささやま荘」があり、四季を通じて利用者が多い。ここからは、篠山川を眼下に、西に篠山城跡、東南方間近に高城山や、豊かな田園風景が展望できる。
「丹波篠山五十三次ガイド(改定版)」(平成7年8月発行)より
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