歴史美術館前バス停から徒歩すぐ「篠山歴史美術館」は、明治24年に篠山区裁判所・神戸地方裁判所篠山支部として建てられ、昭和56年まで使用されていた、わが国で木造の裁判所としては最も古い建物である。
もとは、商店街に面して駐車場も含め南向きに建ち、丁度、信号機あたりが門、道路の中央付近に玄関があった。
篠山町は都市計画により、道路を北に直診させるために、取りこわ予定もあったが、国土庁の伝統的文化都市パイロット事業により、西向きに方向転換の工事をして現在のところに移し、貴重な明治の遺構を残したのである。外観と旧法廷は以前のままの姿で残し、その他は、若干修築のうえ昭和57年4月、城下町篠山にふさわしい美術館に生まれ変わったのである。現在、建物全体が町指定の文化財であり、前庭に、織部灯籠棹石(町・文)がある。
館内には、当地に古くから伝わる美術・工芸品や武具をはじめ、江戸時代末期に篠山藩の御用窯として始められた王地山焼の名品の数々や、古代からの埋蔵文化財などを一堂に集め展示しており、連日、多くの入館者がある。
「丹波篠山五十三次ガイド(改定版)」(平成7年8月発行)より
※地名・交通経路等は書籍発行時のもので、現在の状況とは異なる場合がありますのでご注意ください。