城北口バス停から徒歩約7分沢田城跡を背後にして、南に開けたところに、落ち着いた風格と安らぎを漂わせて「小林寺」がある。
天正年間(1573~92)沢田城主小林近江守長任が亡くなり、家督の平左衛門尉長治は、しばらくして仏門に入り、雑林と号し、父の供養のため付近に「雑林庵」を創建。その後、沢田城が廃城となったので、現在の場所に移築し、小林家の菩提寺として小林寺と改めた。
下って、享保14年(1729)、寺の位階を改めて法地とし、洞光寺二十四世春国万栄大和尚を迎えて開山とした。今の本堂は、寛延2年(1749)に焼失し、翌3年に再建されたものである。
ご本尊は、十一面観世音菩薩坐像であり、木造毘沙門天立像(町・文)がある。像の高さは6.7cm、伝承では鳥仏師の作とされ、もと比叡山にあったが、縁によって当寺に奉安することになったという。両脇に吉祥天と善財童子を従えている。
後ろの小山が南西に突き出ている墓地のあたりは、もと出羽丸と呼ばれた保塁跡であり、先端部には大日堂が建っている。古書によると、その付近に永井殿井と呼ぶ井戸があったと伝えている。
平成7年8月、本堂と庫裡が改築された。
「丹波篠山五十三次ガイド(改定版)」(平成7年8月発行)より
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