城北口バス停から徒歩約8分
小林寺の後ろの南面した見晴らしのよい高台に、「三蔵法師」の立派な「聖骨塔」が建っている。三蔵法師は、602年に中国河南省洛陽の近くに生まれ、浄土寺の僧となり、さらに各地の寺院で研修に努めたが、一層の研さんを目指して、インドに行こうと決心した。
629年、国禁を犯して、甘粛省の西の関から脱出し、苦しい旅の末、中インドのマカダの学問寺ナーランダで修行を積んだ。その後、インド各地を巡歴のうえ、多数の仏典などを持ち、西域南道のコータンを経て、645年に唐朝廷に迎えられ長安に帰り着いたのである。
朝廷の命令と援助をうけて、『大唐西域記』を著し『大般若経』600巻以下、75部1335巻もの仏典を翻訳したほか、多くの英才を教育した。仏教中興の祖として尊敬され、小説『西遊記』のモデルとして広く親しまれている。
664年、63才で亡くなられ、長安の都に葬られていたのであるが、昭和17年、日本軍南京守備隊が偶然に発掘した。その聖骨は、全世界の9ヵ所に分けられ、わが国では、6ヵ所に奉安されている。
その中の一つとして、昭和35年、聖骨2粒を篠山に奉迎し、郡家の「長楽寺」に仮に安置していたが、昭和40年に三蔵法師奉讃会によって、この場所を選んで聖骨塔が建立された。
「丹波篠山五十三次ガイド(改定版)」(平成7年8月発行)より
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