城北口バス停から徒歩約12分沢田城跡の北側に接して、古社の「沢田八幡神社」がある。
ご祭神は、応神天皇、春日大神、事代主命と国土開発国魂神、同姫神及び元沢田城主小林近江守である。
創建の年代は不明であるが、境内の「不動堂」に、文治2年(1186)、護摩堂を再建したという棟札があり、平安初期にはあったと言える。
古代に村人たちが事代主命(大国主命の子)をお祭りしたのが始まりで、その後、日置荘の領主藤原基経(昭宣公)の祖神・春日大神を奈良から勧請し、春日神社と称していたという。
南北朝時代の暦応元年(1338)には後醍醐天皇が勅使を派遣されているし、足利氏、山名氏、細川氏など武将の崇敬社となっていた。
当時、三岳修験道が盛んなころであり、修験道関連社寺として栄えていたのであろう。
その後、小林近江守が八幡大神を勧請して、社名にしたと伝えられる。沢田城とともに兵火により焼失。寛永9年(1632)に篠山城主松平山城守忠国が本殿を再興し、城の鬼門の鎮守とした。それ以来、歴代城主が寄進と保護を続け祈願所となっていた。
ご祭神のうち、国土開発国魂神と同姫神は、付近の沼沢地を開拓された遠い祖神とされ、毎年、10月16日の祭礼に行われる、大蛇に模した鱧を切る珍しい神事、鱧祭(町・文)と関係がある古い信仰の神である。
「丹波篠山五十三次ガイド(改定版)」(平成7年8月発行)より
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