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後川稲荷神社(後川中)

後川中バス停から徒歩約3分

 清陰寺の東側に接して、山門の横から参道に通じている。赤い鳥居が覆うように立ち並ぶ石段を登ると「後川稲荷神社」があり、「後川五社稲荷」ともいう。
 奥の院から寛延2年(1749)に移された。公家の名門・摂関職二条家の信仰が厚く、文久元年(1861)には家紋付きの釣提灯を2張寄進し、家運の長久と繁栄並びに福寿円満の祈祷を願うという文書が、寺の本堂に掲げてある。
 昔は、ここが丹波から摂津への交通の要衝になっていた。したがって、村人たちはもちろんのこと、諸国の商売人や灘方面へ酒造りに行く杜氏など多くの参拝者があった。お供えする油が、鈴の緒を撚って灯心にした一斗(18リットル)鍋からいつも溢れていたと言われる。
 願済みに奉納した大小千数百個の鈴を収納していた鈴堂や「丹後峯山商栄講」の大きな木札が残っている。本殿裏に、真っ赤に塗られた眷族堂があり、純白の木像の狐が大小数十体並ぶさまは、妖しい魅力で人の心を引きつける。

「丹波篠山五十三次ガイド(改定版)」(平成7年8月発行)より
※地名・交通経路等は書籍発行時のもので、現在の状況とは異なる場合がありますのでご注意ください。