福住小野バス停から徒歩約10分二之坪の集落の西側の山裾の台地に、「熊野新宮神社」がある。
大宝2年(702)、小野奥谷にあった廃飛蔵山清水寺の守護神として、紀州熊野より熊野坐神社(熊野本宮大社)を小野奥谷の奥山に、貝田に熊野那智神社(熊野那智大社)を、ここには熊野早玉神社(熊野速玉大社・新宮)が勧請されたといい、その後、他の2社はなくなった。そして再び、小野奥谷字西ノ谷には永享年間(1429~41)に熊野社が祭られた。この神社も永禄3年(1560)に焼失したが、延宝6年(1678)、再建され、歴代藩主が保護を続け隆盛したと思われる。
毎年、8月31日、9月1日の例祭は「八朔祭」と呼ばれ、造り山は町指定の無形文化財である。これは、よく出来た農作物を神前に供える風習から始まり、延宝年間(1673~81)のころから造り物を屋台に乗せて祝い、後に、京都の祇園祭の山鉾をまねて、飾り付けた7台の山車が宮入りをするようになった。
囃子はないが、各部落が極秘のうちに趣向をこらした造り山が灯明に照り映えるさまは見事であり、多数の参拝者で賑わう。
「丹波篠山五十三次ガイド(改定版)」(平成7年8月発行)より
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