小田中バス停から徒歩約10分国道173号線の細工所の信号から、北西に見える集落が小立である。南面する丘陵の斜面に横穴式石室をもつ小円墳が10数基、東西約100メートル、南北約200メートルにわたって点在している。
これらが「岩井山古墳群」であって、6世紀から7世紀初め(古墳時代後期)につくられた、大陸の古墳型式によるものである。
この古墳群は、あまり封土が残っていなくて、墳丘状をなしていないが、斜面を棚状に削って平らにし、石室が築かれており、階段のような状態になって点在している。
各古墳の直径は10メートルほどのものが多く、石室は崩壊しているものもあるが、羨道部をもたない無袖式の横穴式石室である。
石材は、自然石を割石加工して用いており、10号墳では持ち送り工法によって、石室を巧みに構築している。
これらのうち、低い所にある3号墳は最も大きな規模で、奧壁に石棚がつけられた珍しいものであり、奧壁の下から63センチメートル、上から77センチメートルのところに、長さ1.4メートル、幅96センチメートル、厚さ40センチメートルの長方形の石が奧壁と側壁に架設してある。
石棚の用途は、祭祀のためか、補強に使ったのかよくわからない。篠山地方では唯一のもので、近くの例では、三田市末東の東仲古墳にある。
「丹波篠山五十三次ガイド(改定版)」(平成7年8月発行)より
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