丹波大宮バス停から徒歩すぐ国道173号線の細工所の信号から約2.5キロメートル北上すると、右側に宮山と呼ぶ笠形の小山を背後にして、多紀・氷上両郡では、唯一の延喜式名神大社の「櫛石窓神社」がある。
ご祭神は櫛石窓命、豊石窓命、大宮比売命ほかである。
天照大神が素戔嗚尊の乱暴を怒り、天の岩屋戸に籠られ、神々の願いによって、再びこの世に出られたのち、新殿にお移りになった。そこで御門を守ったのが櫛・豊石窓命であり、女官として仕えたのが大宮比売命である(『古語拾遺』)。また、天孫降臨の時には瓊瓊杵尊に従ったと伝えられる(『古事記』)。
それで、皇居の御門を守護し、災厄神を追い払う神として宮中に祭られている。
大同元年(806)に平城天皇が封戸5戸を贈られている(『新抄格勅符抄』)。中世には大芋荘の本家として、荘内48ヶ村の総社であった。
社殿は、昭和27年に再建された。「木像大宮比売命坐像」は、古神像の特徴を備え、平安期の作で、国の重要文化財に指定されている。
「丹波篠山五十三次ガイド(改定版)」(平成7年8月発行)より
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