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土中より城の歴史を探る(2)

 1981年から84年にかけて4回の篠山城二の丸発掘調査により大書院を含む小書院奥御殿等の建物群の全容が明らかになりました。
 この発掘調査によって瓦陶磁器金製品木製品石製品貝や骨片等多くの物が出土しました。これらの中で瓦を取り上げてみますと瓦は隅櫓や多聞櫓が存在していたと考えられる二の丸西側南側を除いて出土量が少なく御殿建物での使用は部分的に限られていたようです。
 瓦の種類は軒丸瓦軒平瓦鬼瓦輪違瓦丸瓦軒先瓦熨斗瓦等であり城郭建物にふ さわしく多種にわたっています。その中でも歴代城主の家紋をデザインした軒丸瓦には三つ葉葵紋瓦剣酢漿物瓦(藤井松平氏) 梅鉢紋瓦巴紋瓦の四種類が見つかりました。 出土量の比率では巴文瓦が六割と最も多く次に三つ葉葵紋瓦剣酢漿紋瓦が三割。残りの一割程度が梅鉢紋瓦で数量的にも少なく江戸時代に他所から持ち込まれた可能性があります。このうち三つ葉葵紋瓦の使用は篠山城が天下普請の築城であり徳川将軍の直城にならった故であろうと考えられています。
 歴代城主の家紋をデザインした軒丸瓦は姫路城をはじめ現存している城に多く使われていますがこれは権威の象徴として用いられた結果と思われます。