○丹波篠山市公正な職務の執行の確保等に関する条例
平成22年12月24日
条例第42号
目次
第1章 総則(第1条・第2条)
第2章 職員倫理原則等(第3条―第7条)
第3章 丹波篠山市公正職務審査会等(第8条―第10条)
第4章 内部公益通報等(第11条―第14条)
第5章 要望等の記録公表及び不当要求行為に対する措置(第15条―第22条)
第6章 雑則(第23条・第24条)
附則
第1章 総則
(目的)
第1条 この条例は、職員の倫理の保持及び法令等の遵守の推進のために必要な事項を定めるとともに、公平かつ公正な職務の遂行を確保するために必要な措置を講ずることにより、市政に対する市民の信頼を確保し、市民の利益の保護に資することを目的とする。
(1) 市の機関 地方自治法(昭和22年法律第67号)第2編第7章の規定に基づいて設置される本市の執行機関、消防長及び市議会議長をいう。
(2) 職員 次に掲げる者をいう。
ア 市の機関の職にある者(市議会議長を除く。)及びその構成員
イ 任命権者(地方公務員法(昭和25年法律第261号)第6条第1項に規定する任命権者及びその委任を受けた者をいう。以下同じ。)が任命する同法第3条第1項に規定する一般職及び特別職の職員(アに掲げる者を除く。)
ウ 市町村立学校職員給与負担法(昭和23年法律第135号)第1条に規定する職員であって丹波篠山市立学校に属するもの
(3) 法令等 法律、法律に基づく命令(告示を含む。)、条例及び規則(規程を含む。)並びに本市の機関がその職務を執行するために定める基準をいう。
(4) 内部公益通報 職員が、内部通報対象事実が生じ、又は生じようとしている旨を、第10条第1項に規定する公正職務相談員に通報することをいう。
(5) 内部通報対象事実 次に掲げるものをいう。
ア 本市事務事業又はこれに従事する場合における職員についての法令等に違反する事実
イ 職員が他の職員に対して行った不当要求行為その他職員の職務に関する違法又は不当な要求の事実
(6) 通報職員 内部公益通報を行った職員をいう。
(7) 要望等 職員以外の者が職員に対して行う当該職員の職務に関する要望、提言、相談、意見、苦情、請願、陳情その他これらに類する行為をいう。
(8) 不当要求行為 職員に対し、本市事務事業又は当該職員の職務に関して、脅迫、威圧、暴言、けん騒その他の不穏当な言動により、又はその地位を利用し、若しくはその権限に基づく影響力を行使して、不適正にその職務上若しくは業務上の行為をし、又はしないことを求める行為その他の不正の手段により公正な事務又は事業の遂行等を妨げる行為をいう。
第2章 職員倫理原則等
(職員が遵守すべき倫理原則)
第3条 職員は、市民から信頼される職員となるよう倫理意識の高揚に努めなければならない。
2 職員は、法令等を遵守し、常に公正な職務の執行に当たらなければならない。
3 職員は、市民全体の奉仕者であることを自覚し、市民の一部に対してのみ有利な取扱いをする等市民に対し不当な差別的取扱いをしてはならない。
4 職員は、公私の別を明らかにし、いやしくもその職務や地位を自らや自らの属する組織のための私的利益のために用いてはならない。
5 職員は、職務上の権限の行使の対象となる者からの贈与等(金銭、物品その他の財産上の利益の供与又は供応接待をいう。)を受けること等の市民の疑惑や不信を招くような行為をしてはならない。
6 職員は、自らも地域社会の一員であることを自覚し、職務外においても地域住民との信頼関係を構築し、地域活動に積極的に参画するよう努めなければならない。
(倫理基準)
第4条 市長は、前条に規定する倫理原則を踏まえ、他の任命権者の意見を聴いた上で、職員の職務に係る倫理を保持するために必要な事項に関する基準(以下「倫理規程」という。)を定めるものとする。この場合において、当該倫理規程には、職員の職務に利害関係を有する者からの贈与等の禁止及び制限その他市民の疑惑や不信を招くような行為の防止に関し職員の遵守すべき事項が含まれていなければならない。
(市の機関の責務)
第5条 市の機関は、常に公正な市政運営を図り、市政に対する市民の信頼を確保するよう努めなければならない。
2 市の機関は、職員が常に公正な職務の執行を行うよう、職員の倫理の保持及び法令等の遵守に関する啓発、研修その他必要な措置を講じなければならない。
(管理職員の責務)
第6条 管理職員(職員を管理監督する立場にある職員として規則で定めるものをいう。以下同じ。)は、その職責の重要性を自覚し、管理又は監督の対象となる職員に対し、職員の倫理の保持及び法令等の遵守のために必要な指導及び援助を行うとともに、本市が職員の倫理の保持及び法令等の遵守に関して取り組む施策において中心的な役割を果たさなければならない。
(市民等の責務)
第7条 市民は、地方公共団体を構成する一員として常に本市の行政運営に関心を払い、職員による公正かつ適正な職務の執行について理解し、協力するよう努めるものとする。
2 市民、事業者その他要望等を行おうとするものは、不正な要望又は不正な手段により職員の公正な職務の執行を妨げる行為をしてはならない。
第3章 丹波篠山市公正職務審査会等
(丹波篠山市公正職務審査会の設置)
第8条 職員の倫理の保持及び法令等の遵守に関する調査及び審査(以下「調査等」という。)を行うため、丹波篠山市公正職務審査会(以下「審査会」という。)を置く。
2 審査会は、委員4人で組織する。
3 委員は、職員及び学識経験のある者のうちから市長が任命する。
4 委員の任期は、2年とし、再任を妨げない。ただし、委員が欠けた場合における補欠委員の任期は、前任者の残任期間とする。
5 委員は、職務上知り得た秘密を漏らしてはならない。その職を退いた後も、同様とする。
6 前各項に定めるもののほか、審査会の組織及び運営に関し必要な事項は、規則で定める。
(審査会の所掌事務)
第9条 審査会の所掌事項は、次のとおりとする。
(1) 第11条第1項に規定する内部公益通報の受付に関すること。
(2) 第13条に規定する内部公益通報の調査等に関すること。
(3) 第21条に規定する不当要求行為の諮問に関すること。
(4) 前3号に掲げるもののほか、法令遵守の推進及び倫理の保持に関すること。
2 審査会は、前項に規定する調査等のほか、この条例による制度の適正な運営に関する事項について、市の機関又は任命権者に必要に応じて意見を述べることができる。
(公正職務相談員の設置)
第10条 内部公益通報及び不当要求行為を公正かつ適切に処理するため、公正職務相談員を置く。
2 公正職務相談員は、次に掲げる職務に従事する。
(1) 内部公益通報の受付及び相談並びに審査会への報告に関すること。
(2) 通報職員からの不利益取扱いの申出の受付及び相談並びに審査会への報告に関すること。
(3) 不当要求行為に対する措置等の相談に関すること。
3 公正職務相談員は、審査会の委員が兼ねるものとする。
第4章 内部公益通報等
(内部公益通報手続等)
第11条 職員は、内部通報対象事実が生じ、又は正に生じようとしていると思料する場合には、公正職務相談員又は審査会に内部公益通報をすることができる。
2 職員は、通報しようとする内容が内部通報対象事実に該当するかどうかについて、公正職務相談員に相談を行うことができる。
(1) 人の生命又は身体に危害が発生し、又は発生する急迫した危険があると信ずるに足りる相当な理由がある場合
(2) 内部公益通報をすれば免職その他不利益な取扱いを受けると信ずるに足りる相当な理由がある場合
(通報職員の保護)
第12条 市の機関又は任命権者は、通報職員に対し、通報をしたことを理由として、いかなる不利益な取扱いもしてはならない。
2 通報職員は、正当な通報をしたことによって不利益な取扱いを受けたと思料するときには、公正職務相談員又は審査会にその是正の申立てをすることができる。この場合において、通報職員がそれ以後に受けた不利益な取扱いは、特段の理由のない限り、当該通報をしたことを理由としてなされたものと推定する。
3 市の機関は、通報職員を保護するため、通報職員が特定されるおそれがある情報は公開してはならない。
(通報に係る審査会の職務)
第13条 審査会は、公正職務相談員又は審査会が受けた内部公益通報の内容について速やかに調査等を行うものとする。
2 審査会は、調査等の結果、当該内部公益通報どおりの事実があると認めるときは、是正措置等についての意見を付し、又は該当する事実がないと認めるとき若しくは調査等を尽くしても当該事実の存否が明らかにならないときはその旨を、市の機関に報告するものとする。
3 審査会は、調査等の結果を通報職員に通知しなければならない。ただし、通知を希望しない通報職員に対しては、この限りでない。
2 前項に規定する場合のほか、市の機関は、通報職員が通報をしたことにより不利益な取扱いを受け、又は受けるおそれがあると認めたときは、遅滞なく改善又は防止のために必要な措置を講ずるものとする。
第5章 要望等の記録公表及び不当要求行為に対する措置
(要望等に対する基本原則)
第15条 市の機関は、市民の市政への参画と協働を実現するため、市政運営に対する要望等の重要性を十分に理解し、誠実にその内容を受け止め、適正に対応しなければならない。
2 市の機関は、要望等のうち、特定の個人又は団体(以下「特定のもの」という。)を他のものと比べて有利に扱うなど特別の取扱いをすること(不作為を含む。)を求める要求に対しては、他のものの権利及び利益を害さないよう十分に留意し、正当な理由なく、特定のものに対して便宜又は利益を図ることにならないよう慎重かつ適切に対応しなければならない。ただし、通常の適正な職務の執行に係るものであることが明らかであるものについてはこの限りでない。
3 市の機関は、要望等が不当要求行為に該当すると認める場合は、これを拒否しなければならない。
4 市長は、市における不当要求行為に対して、市の機関を通じての統一的な措置及び組織的に不当要求行為を防止するために必要な事項に関する基準を定めるものとする。
(要望等の記録等)
第16条 職員は、要望等を受けたときは、その内容を確認し、簡潔に記録をするものとする。この場合において、当該記録をするに当たっては、不実又は虚偽の記載をしてはならない。
(1) 公式又は公開の場における要望等であって、議事録その他これに類するものとして別途記録されるとき。
(2) 要望等の内容が単なる問い合わせ又は事実関係の確認にすぎないことが明らかであるとき。
(3) 要望等の内容が次のいずれかに該当するとき(その要望等の内容に特定要求又は不当要求に係るものが含まれるときを除く。)。
ア 相談業務における同種の要望等で職員が多数の要望者に順次応対するような場合であって、個別に記録する必要性が乏しいもの
イ 相談業務における要望等でその場で用件が終了し、職員が要望者に対して改めて対応し、又は回答する必要がないもの
ウ 多数の者が利用する公の施設における利用者その他の関係者との間で日常的になされる軽易なもの
(要望等の管理及び公表)
第17条 市の機関は、要望等を規則に定めるところにより管理するとともに、要望等の概要を公表するものとする。
(不当要求行為の例示)
第18条 不当要求行為とは、おおむね次に掲げる行為をいう。
(1) 市が行う許認可その他の行政処分又は請負その他の契約に関して、正当な理由なく、特定のものに対して不当に有利な又は不利な取扱いをするよう要求する行為及び入札その他の事務の公正を害する行為
(2) 市が行おうとしている不利益処分に関して、正当な理由なく、当該不利益処分の名宛人となるべき者のために、当該不利益処分を行わないよう、又は処分内容を緩和するよう要求する行為
(3) 職員の人事(採用、昇任、降任、転任等をいう。)について、正当な理由なく、有利な又は不利な取扱いをするよう要求する行為
(4) 正当な権利がないにもかかわらず権利があるとし、提供を受けた役務に瑕疵がないにもかかわらず瑕疵があるとし、若しくは交通事故その他の事故による損害がないにもかかわらず損害があるとし、又はこれらの瑕疵若しくは損害の程度を誇張して、損害賠償、解決金その他これらに類する名目で金品、便宜等を要求する行為
(5) 身体の一部若しくは器具を使って故意に相手を傷付けようとする行為、威圧若しくは脅迫により職員が恐怖を感じ著しく困惑する状況に追い込む行為又は職員が業務ができない程度のけん騒行為を用いて要望等を行う行為
(6) 職員が正常な状態で面談することが困難であり、又は職務の遂行に支障が生じるおそれがあるため断ったにもかかわらず、強行に脅迫的言動を用いて、又は不快感を生じせしめるほど執ように、面談を強要し、又は営業を行う行為
(7) 粗野な又は乱暴な言動により他人に嫌悪の情を抱かせる行為を用いて要望等を行う行為
(8) 庁舎等の施設の保全若しくは秩序の維持又は本市事務事業の適正な遂行に支障を生じさせる行為を用いて要望等を行う行為
(9) 前各号に定めるもののほか、職員の公正な職務の遂行を妨げる行為を用いて要望等を行う行為
(不当要求行為に対する職員の対応)
第19条 職員は、不当要求行為があったときは、これを拒否するとともに、直属の管理職員を通じ市の機関に報告しなければならない。
2 職員は、不当要求行為に対する措置又は不当要求行為に該当するかどうかについて、公正職務相談員に相談を行うことができる。
(不当要求行為に対する措置等)
第20条 市の機関は、不当要求行為があった場合は、複数の職員により、組織的にき然とした態度で対応しなければならない。
2 市の機関は、不当要求行為があった場合は、不当要求行為を行った者(以下「不当要求行為者」という。)に対し、口頭又は書面により注意し、又は警告し、不当要求に応じることができない旨を回答しなければならない。
3 市の機関は、前項の規定による回答を行ったにもかかわらず、不当要求行為者が不当要求行為を中止しないときは、告訴、告発、仮処分命令の申立てその他当該不当要求行為を排除するために法的措置を含め必要な措置を講じなければならない。
4 市の機関は、不当要求行為があった場合は、不当要求行為者の氏名、不当要求行為の内容及び不当要求行為者に行った措置の内容を公表することができる。
5 市の機関は、不当要求行為者が本市の競争入札の参加資格業者であるときは、前項の規定にかかわらず、別に定めるところにより指名停止その他必要な措置を講ずるものとする。
(審査会への諮問)
第21条 市の機関は、次に掲げる事項について必要があると認めるときは、審査会に諮問するものとする。
(1) 不当要求行為であるかどうかを判断できない要望等への対応
(2) 前条に規定する不当要求行為を中止させるために必要な措置
2 審査会は、要望等の内容について速やかに必要な調査を行い、不当要求行為に該当するかどうかを審査しなければならない。
3 審査会は、調査等の結果、不当要求行為に該当すると認めるときは是正措置等についての意見を付し、又は該当しないと認めるときはその旨を、市の機関に報告するものとする。
2 市の機関は、職員がその正当な職務行為に起因して、不当要求行為者その他の者から不当な権利侵害を受けることがないよう配慮し、及び職員が不当な権利侵害を受けた場合は、当該職員に対し、援助、保護その他の必要な措置を講ずるものとする。
第6章 雑則
(運用状況の公表)
第23条 市長は、毎年度この条例の運用状況について取りまとめ、公表するものとする。
(委任)
第24条 この条例の施行に関し必要な事項は、規則で定める。
附 則
(施行期日)
1 この条例は、平成23年4月1日から施行する。
(経過措置)
2 第19条の規定は、この条例の施行の日以後に行われる不当要求行為について適用する。
(篠山市特別職の職員で非常勤のものの報酬及び費用弁償に関する条例の一部改正)
3 篠山市特別職の職員で非常勤のものの報酬及び費用弁償に関する条例(平成11年篠山市条例第46号)の一部を次のように改正する。
〔次のよう〕略