○丹波篠山市子どものいじめの防止等に関する条例
平成26年3月26日
条例第1号
子どもは、家庭や地域に明るさや喜びを与え、人々の絆を深めるかけがえのない存在であり、みんなの大切な宝です。基本的人権を侵害するいじめは、子どもの尊厳を脅かし、心身の成長や人格の形成に重大な影響を与えるだけでなく、生命や身体に重大な危険を生じさせるおそれのあるものです。こうしたいじめから子どもを守るためには、いじめは、人間関係において、いつでも、どこでも、だれにでも起こり得るという共通認識のもと、地域社会全体で、だれもが互いを認め合い、支え合いながら、安心して健やかに暮らせる環境を整え、いじめを絶対に「しない、させない、ゆるさない」取り組みが必要です。
私たちは、こうした考えのもと、子どものいじめの防止等(いじめの防止、いじめの早期発見及びいじめの対処をいう。以下同じ。)についての基本理念を明らかにし、子どものいじめの防止等のための施策を推進し、すべての人が幸せを実感できるあたたかいまちをつくりあげるため、この条例を制定します。
(目的)
第1条 この条例は、子どものいじめの防止等に係る基本理念を定め、市、市立学校、保護者、市民及び事業者等の責務並びに子どもの役割を明らかにするとともに、いじめの防止等に関する施策の基本となる事項を定めることにより、子どもが互いを認め合い、支え合いながら、安心して暮らし、学ぶことができる環境をつくることを目的とする。
(1) いじめ 子どもと一定の人間関係にある他の子どもが行う心理的又は物理的な影響を与える行為(インターネットを通じて行われるものを含む。)であって、当該行為の対象となった子どもが心身の苦痛を感じているものをいう。
(2) 子ども 第4号に規定する学校に通学する児童及び生徒その他これらの者と等しくいじめの防止等の対象と認めることが適当と認められる者をいう。
(3) 市立学校 丹波篠山市立小学校及び中学校の設置に関する条例(平成11年篠山市条例第77号)別表に掲げる小学校及び中学校並びに丹波篠山市立特別支援学校の設置に関する条例(平成11年篠山市条例第81号)別表に掲げる特別支援学校をいう。
(4) 学校 学校教育法(昭和22年法律第26号)第1条に規定する小学校、中学校、義務教育学校、高等学校、中等教育学校及び特別支援学校(幼稚部を除く。)で、本市の区域内にあるものをいう。
(5) 保護者 親権を有する者、未成年後見人その他の子どもを現に監護する者をいう。
(6) 市民 本市の区域内に居住し、通勤し、又は通学する者(学校に通学する者を除く。)をいう。
(7) 事業者等 市内に事業所を有する個人又は法人等で、事業を営むものをいう。
(8) 関係機関等 警察、こども家庭センター、法務局その他子どものいじめの問題に関係する機関及び団体をいう。
(基本理念)
第3条 いじめは、子どもの尊厳を脅かし、重大な人権侵害であるとの認識の下、市、市立学校、保護者、市民及び事業者等は、それぞれの責務を自覚し、主体的かつ積極的に相互に連携して、いじめの防止等に取り組み、子どもが安心して生活し、学ぶことができる環境を整え、一人一人の尊厳を大切にし、相互に尊重し合う社会の実現に努めなければならない。
(市の責務)
第4条 市は、国、都道府県、学校及び市民と連携し、子どものいじめの防止等を図るための必要な体制を整備するとともに、必要な施策を講じなければならない。
2 市は、子どもをいじめから守るため、関係機関等と緊密な連携を図らなければならない。
3 市は、いじめが子どもの心身に及ぼす影響、いじめを防止することの重要性、いじめに係る相談制度等について必要な広報その他の啓発活動を行わなければならない。
(市立学校の責務)
第5条 市立学校は、保護者、地域住民及び関係機関等との連携を図りつつ、教職員に対し、いじめの防止等のための対策に関する資質の向上及び教職員同士の連携強化を図り、学校全体でいじめの防止等に取り組まなければならない。
2 市立学校は、子どもがいじめを受けていると思われるときは、適切かつ迅速にこれに対処し、その内容を市に報告しなければならない。
3 市立学校は、子ども及び保護者が安心して相談することができるよう環境を整えなければならない。
4 市立学校は、教育活動を通して、子どもの自他の生命を大切にする心、自他の人権を守ろうとする心、公共心及び道徳的実践力を育成しなければならない。
5 市立学校は、子ども自身がいじめについて主体的に考え行動できるよう、学年に応じた学級の環境づくりに取り組まなければならない。
6 市立学校は、子どもがより良い人間関係を構築できるよう必要な取組を行わなければならない。
(保護者の責務)
第6条 保護者は、子どもの教育の第一義的責任を有することを再認識し、子どもに対し、いじめは許されない行為であることを充分に理解させるよう努めるものとする。
2 保護者は、互いを認め合い、自他の尊厳を大切にする子どもに育むよう努めるものとする。
3 保護者は、市及び市立学校が講ずるいじめの防止等のための措置に協力するよう努めるものとする。
(市民及び事業者等の責務)
第7条 市民及び事業者等は、それぞれの地域において子どもに対する見守り、声かけ等を行い、子どもが安心して過ごすことができる環境づくりに努めるものとする。
2 市民及び事業者等は、いじめを発見し、又はいじめの疑いを認めた場合には、市、学校又は関係機関等に情報を提供するよう努めるものとする。
(子どもの役割)
第8条 子どもは、互いを認め合い、支え合いながら、いじめのない明るい学校生活づくりに努めるものとする。
2 子どもは、いじめを受けた場合には、一人で悩まず家族、学校、友だち又は関係機関等に相談することができる。
3 子どもは、いじめを発見した場合(いじめの疑いを認めた場合を含む。)及び友だちからいじめの相談を受けた場合には、家族、学校又は関係機関等に相談することができる。
(財政的措置)
第9条 市は、この条例の目的を達成するため、適切な財政的措置を講ずるものとする。
(行動指針の策定)
第10条 市は、基本理念にのっとり、子どもが安心して生活し、学ぶことができる環境を整えるため、子どものいじめの防止等に関する行動指針を策定するものとする。
(いじめ問題対策に関する連携会議)
第11条 市は、いじめの防止等に関係する機関及び団体等の連携を図るための会議を置くものとする。
(相談、通報又は情報の提供)
第12条 何人も、いじめを発見し、又はいじめの疑いを認めた場合には、市又は学校に相談、通報又は情報の提供(以下「相談等」という。)をすることができる。
(相談体制等の整備)
第13条 市は、いじめに関する相談等に速やかに対応するとともに、全ての子ども、保護者その他いじめの防止等に関わる者が安心して相談等ができるよういじめに関する相談体制を整備するものとする。
(丹波篠山市子どものいじめ対策委員会)
第14条 市は、いじめ防止対策推進法(平成25年法律第71号)第30条第2項に規定する重大事態への対処又は当該重大事態と同種の事態の発生防止のため、市長の附属機関として、丹波篠山市子どものいじめ対策委員会(以下「委員会」という。)を置く。
(所掌事務)
第15条 委員会は、市長の諮問に応じるほか、相談等のあったいじめ(いじめの疑いを認めた場合として相談等をされたものを含む。)について、その事実確認及び解決を図るために必要な調査、審査又は関係者との調整(以下「調査等」という。)を行うものとする。
2 市長は、必要があると認めるときは、関係者に対する助言又は支援を委員会に行わせることができる。
3 委員会は、必要に応じて市長に対し、再発防止及びいじめ問題の解決を図るための方策の提言等を行うことができる。
4 委員会は、特に必要があると認めるときは、関係者に対して資料の提出、説明その他必要な協力を求めることができる。
5 委員会は、市長の諮問に加えて、教育委員会からの協議に応じることができる。
(委員会の組織等)
第16条 委員会は、委員5人以内をもって組織する。
2 委員は、次に掲げる者のうちから、市長が委嘱する。
(1) 臨床心理士等子どもの発達、心理等についての専門的知識を有する者
(2) 学識経験を有する者
(3) 弁護士
3 委員の任期は、2年とする。ただし、委員が欠けた場合における補欠の委員の任期は、前任者の残任期間とする。
4 委員は、再任されることができる。
5 前各項に定めるほか、委員会の組織等に関して必要な事項は、規則で定める。
(是正の要請)
第17条 市長は、委員会からの調査等の結果の報告を受け、当該報告を踏まえて必要があると認めるときは、関係者(調査等の結果により、いじめを行ったと認められる子どもを除く。)に対して是正の要請を行うことができる。
2 是正の要請を受けた者は、これを尊重し、必要な措置をとるよう努めるとともに、当該是正の要請に係る対応状況を市長に報告するものとする。ただし、当該是正の要請を受けた者が国又は都道府県の所管に属する場合は、この限りでない。
3 市長は、是正の要請をしたときは、その後の経過の確認を行い、その結果を委員会に報告するものとする。
(委員会への協力)
第18条 市立学校、保護者、市民、子ども及び事業者等は、委員会の調査等に協力するものとする。この場合において、子どもへの調査等の協力については、子どもに過度な負担が生じないよう最大限配慮されなければならない。
(活動状況の報告及び公表)
第19条 委員会は、毎年の活動状況を市長に報告するものとする。
2 市長は、前項の規定による報告の内容を市議会に報告し、及び市民に公表しなければならない。
3 市議会は、前項の規定による報告に加えて、必要があると認めるときは、市長に対して委員会の活動状況について報告を求めることができる。
5 市長は、必要と認めるときは、是正の要請及びその対応状況の内容を公表することができる。
(個人情報に対する取扱い)
第20条 市は、この条例の施行に当たって知り得た個人情報の保護及び取扱いに万全を期するものとし、当該個人情報をいじめの防止等に関する業務の遂行以外に用いてはならない。
2 委員会の委員は、正当な理由なく、職務上知り得た秘密を漏らしてはならない。その職を退いた後も同様とする。
3 いじめに関する相談等に関係した者は、正当な理由なく、その際に知り得た個人情報を他人に漏らしてはならない。
(市立学校以外の学校への協力要請)
第21条 市長は、市立学校を除く学校の設置者又は管理者に対し、いじめの防止等について必要な協力を求めることができる。
2 委員会は、市立学校を除く学校の設置者又は管理者に対し、委員会が行う調査等について、協力を求めることができる。
(委任)
第22条 この条例に定めるもののほか、この条例の施行に関し必要な事項は、市長及び教育委員会が別に定める。
附 則
(施行期日)
1 この条例は、平成26年4月1日から施行する。
(篠山市特別職の職員で非常勤のものの報酬及び費用弁償に関する条例の一部改正)
2 篠山市特別職の職員で非常勤のものの報酬及び費用弁償に関する条例(平成11年篠山市条例第46号)の一部を次のように改正する。
〔次のよう〕略
附 則(平成28年3月23日条例第15号)抄
(施行期日)
1 この条例は、平成28年4月1日から施行する。