○丹波篠山市ふるさとの森づくり条例

平成26年12月22日

条例第36号

豊かな自然環境と景観が、丹波篠山らしい創造的なまちづくりを支えています。豊かな自然環境は、この地に暮らす私たちと先人が関わりをもつ中で培ってきたものです。その豊かな自然環境が、以前に比べると失われつつあります。

豊かな森は多様な命を育みます。その命とは、カブトムシや小鳥などの小さなものからシカやサルやイノシシなどの大きなものをさします。また、森で育まれる水は、農村生活に必要な水資源となり、身近な植物や農作物を育みます。そうした多様な生命を育む豊かな森のバランスが崩れることにより、現在の獣害問題や自然災害などが生じています。これからは、私たちにゆとりと潤いのある生活環境を与えてくれる豊かな森を、保全・育成・創造していかなければなりません。

そこで、丹波篠山市は、命を育む豊かな森と水を未来につなぐため、ここに丹波篠山市ふるさとの森づくり条例を制定します。

第1章 総則

(目的)

第1条 この条例は、森林の有する多面的機能と可能性を再認識し、森林を育て、森林に親しみ、森林の恵みを受けるという循環の中で、森林の保全及び資源の有効活用のための基本的な考え方を共有するため、ふるさとの森づくりについて基本理念を定め、市、森林組合、森林事業者、森林所有者及び市民の責務又は役割を明らかにするとともに、ふるさとの森づくりに関する施策を総合的かつ計画的に推進することにより、もって本市の豊かな森林を守り、貴重な財産として後世に継承することを目的とする。

(定義)

第2条 この条例において、次の各号に掲げる用語の意義は、それぞれ当該各号に定めるところによる。

(1) 森林 市内に存する森林法(昭和26年法律第249号)第2条第1項に規定する森林(竹林を含む。)をいう。

(2) 多面的機能 土砂流出及び山地崩壊の防止、洪水軽減等の水源のかん養、野生動植物の生息場所等の自然環境の保全、地球温暖化の抑止、保健休養、木材その他の林産物の生産及び供給その他森林の有する多様な機能をいう。

(3) ふるさとの森づくり 森林の有する多面的機能を持続的に発揮させるため、森林を守り育てるとともに活用することをいう。

(4) 人工林 植栽、種まき又はさし木により成立した森林(伐採跡地を含む。)をいう。

(5) 森林組合 市内に所在する森林組合法(昭和53年法律第36号)に規定する組合をいう。

(6) 森林事業者 市内において、森林の施業又は木材その他の林産物の生産、加工若しくは流通の事業を行う者(森林組合を除く。)をいう。

(7) 森林所有者 森林の土地を所有し、又は森林の土地にある竹林を所有し、若しくは育成することができる者をいう。

(ふるさとの森づくりの基本理念)

第3条 市、森林組合、森林事業者、森林所有者、市民等は、この条例の目的を達成するため、適切な役割分担の下に相互の連携及び協力により、次に掲げる基本理念に基づいてふるさとの森づくりを行うものとする。

(1) 森林の有する多面的機能が持続的に発揮できるよう、間伐による林内の光環境の改善、人工林から落葉広葉樹への林相転換をはじめ、長期的な展望に立った計画的なふるさとの森づくりを行うこと。

(2) 木材を市内で生産するだけでなく、森林資源を生物多様性工法の建築資材、バイオマス発電等の資源として利用するなど、森林資源の循環型システムの構築を通じて、ふるさとの森づくりを産業として推進すること。

(3) 森林を地域の活性化につながる資源として認識し、地域と一体となったふるさとの森づくりを推進すること。

(4) 前3号に掲げる基本理念が継続して行われるよう、ふるさとの森づくりを担う人材の育成を図ること。

(市の責務)

第4条 市は、この条例の目的を達成するため、ふるさとの森づくりの主体となって総合的かつ計画的な施策の推進に努めなければならない。

2 市は、国及び県との連携を図るとともに、他の地方公共団体、公共的団体、関係機関等に対し、必要に応じて理解と協力を求め、ふるさとの森づくりによる森林資源の有効活用及び環境改善の推進に努めなければならない。

3 市は、ふるさとの森づくりに関する情報の提供を通じて、市内外の人々がこの条例の基本理念について理解が得られるよう努めなければならない。

4 市は、木材の地産地消を推進し、公共建築物等における木材の利用の促進に関する法律(平成22年法律第36号)の趣旨に即して、公共建築物の木造化に努めなければならない。

5 市は、環境に配慮した森林整備をはじめ、有害鳥獣対策、多様な生態系の保護等、この条例の目的を達成するため、必要な措置を講じなければならない。

(森林組合の責務)

第5条 森林組合は、森林管理の中核的な担い手として、市、県、関係機関等との連携を密にし、木材その他の林産物の生産及び供給を通じて、環境に配慮したふるさとの森づくりに積極的に取り組まなければならない。

2 森林組合は、環境に配慮したふるさとの森づくりが適正に行われるよう当該組合員に働きかけるとともに、計画的にふるさとの森づくりに取り組まなければならない。

3 森林組合は、市、県、関係機関等が行うふるさとの森づくりに関する各種施策に対し、協力するよう努めなければならない。

(森林事業者の役割)

第6条 森林事業者は、環境に配慮したふるさとの森づくりに関する各種施策に協力するとともに、事業活動を行うに当たっては、生態系の保全等、森林の有する多面的機能の確保に配慮するものとする。

2 森林事業者は、市、県、関係機関等が行うふるさとの森づくりに関する各種施策に対し、協力するよう努めるものとする。

(森林所有者の役割)

第7条 森林所有者は、ふるさとの森づくりの重要性を深く認識し、自らが所有する森林について、森林の有する多面的機能が十分に発揮されるよう努めるものとする。

2 森林所有者は、所有する森林の境界及び状況を把握し、その適切な整備及び保全の推進に極力努めるものとする。

3 森林所有者は、市、県、関係機関等が行うふるさとの森づくりに関する各種施策に対し、協力するよう努めるものとする。

(市民の役割)

第8条 市民は、森林が貴重な財産であることを認識し、この条例に定める基本理念にのっとり、市、県、関係機関等が行うふるさとの森づくりに関する各種施策に対し、協力し、又は参加するよう努めるものとする。

2 市民は、市内で生産される木材その他の林産物を積極的に活用するよう努めるものとする。

第2章 ふるさとの森づくりを推進するための基本的施策

(森林の整備及び保全)

第9条 市は、森林の適正な整備を推進するため、国、県、関係機関等と連携し、造林、保育その他の森林の施業を計画的かつ適切に行うものとする。

2 市は、森林のもつ生物多様性の保全を推進するため、必要な措置を講ずるものとする。

(丹波篠山市ふるさとの森づくり構想)

第10条 市長は、この条例の目的を具体的に推進するため、森林整備及び保全に関する取組方針、目標等を網羅したおおむね20年間の丹波篠山市ふるさとの森づくりに関する基本的な構想(以下「森づくり構想」という。)を定めるものとする。

2 市長は、森づくり構想を策定し、又は見直したときは、これを公表しなければならない。

(ふるさとの森づくり活動の推進)

第11条 市は、ふるさとの森づくりに対する市民の理解を一層深めるため、必要な情報の提供を行うとともに、次世代を担う子供等に対し、教育機関等と連携しながら自然体験活動、森林学習等の機会を定期的に提供し、森林を大切にする心の醸成に努めるものとする。

2 前項に規定するふるさとの森づくりに関する活動を推進するため、5月5日を里山の日とする。

第3章 雑則

(立入調査)

第12条 市長は、この条例の施行に必要な調査のため、職員を森林に立ち入らせることができる。

2 前項の規定により立入調査を行う場合は、身分を示す証明書等を携帯し、関係者に提示しなければならない。

(関係法令の遵守等)

第13条 何人も、森林に立ち入る際には、関係法令を遵守するとともに、地域の社会慣習を尊重し、森林環境の保全に努めなければならない。

(採取等の禁止)

第14条 森林法により定める者を除き、何人も、森林に立ち入り、みだりに動植物を採取したり、ごみを捨てたりしてはならない。

(委任)

第15条 この条例に定めるもののほか、必要な事項は、市長が別に定める。

附 則

この条例は、平成27年4月1日から施行する。

附 則(平成31年2月27日条例第1号)

(施行期日)

1 この条例は、平成31年5月1日から施行する。

(調整規定)

2 各条に規定する条例の規定は、この条例によってまず改正され、次いで市の名称変更に伴う関係条例の整理に関する条例(平成30年篠山市条例第36号)によって改正されるものとする。

丹波篠山市ふるさとの森づくり条例

平成26年12月22日 条例第36号

(令和元年5月1日施行)