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ささやまのみんわしゅう 文・画 田中貞典 |
■ はもまつりむかし、この沢田のあたりは、名のとおりに一面の沢地でじめじめした土地でした。そのうえ、沼には一匹の大蛇が住みつき、ときどき、人間を供物にするよう村人をおどしました。それも、この村に生まれた長男でなければいけないというよく深い大蛇のいいつけに村人たちはしかたなく、 「こんどは、彦右衛門さんのあととりじゃそうな。かわいそうに。」 その日は、晴着をきせたあととりを沼の岸まで連れて行き、村人たちは、泣く泣く引き上げていきました。 こんなことが何百年もつづきました。 ある年のこと、通りかかった一人の武士がこの話を聞き、たいへんかなしみ、 「われ、神力により、この大蛇を退治しよう。」 と、言ってみごとにその大蛇をきりころしました。 急に、平和になった村の人々は、この武士の恩を子孫にいつまでも伝えなければならないと、喜び合いました。 大蛇になぞらえた、「はも」を切る行事が、今も毎年沢田八幡神社の祭の日(10月第3土曜日)に行われています。 「アンギャギャホー、アンギャギャホー。」 と、ふしぎなことばで、はもまつりがとどこおりなくおわったことを神さまに告げます。 |