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ささやまのみんわしゅう 文・画 田中貞典 |
■ 豆を食いに出た絵馬篠山城三代目の城主であった松平忠国が明石城へ国替えになるとき、篠山市黒岡の春日神社へ黒馬を描いた、たて一メートルよこ一メートル七九センチの絵馬を奉納しました。狩野直信の作です。ある日のことでした。黒岡の太郎兵衛という人が、田の畦に作っている豆が一夜のうちに食い荒らされているのを見て、びっくり仰天。 「おかしいぞ。こんなところへよもや、いのししがくることもなかろうし。」 と、思って注意していましたが、次の夜もまた荒らされていました。よく見ると、畑に馬の足跡らしいものがついているので、 「ははあ、ひょっとしたら、これは、あの絵馬堂の馬が絵から抜けだして、豆を食いに出たのかもしれない。」 と、思ってさっそく、その絵馬だけに金網を張ったら、不思議にもそれからは豆を食い荒らすことがなかったということです。 今は、その絵馬の金網もはずされ、新築された絵馬堂の中にかかげられて、篠山市の指定文化財になっています。 |