ホーム > 地域情報データベース > 篠山の民話集 > ゆるぎ橋 |
ささやまのみんわしゅう 文・画 田中貞典 |
■ ゆるぎ橋町の田の南に、小川が流れています。その小川にはむかし、丸木橋がかけてありましたが、小川は白くにごっていて、そこには福の神が住んでいるといわれていました。ある夕方、貧しい若者が、その橋を渡ろうとしていました。福の神はどんな若者かためしてやろうと思って、美しい少女になって若者の前にあらわれました。若者は少しも惑わされることなく、 「おまえは、誰や。」 と、静かに聞いたそうです。 福の神は、今度は若者が渡っている橋をゆすりました。それでも、動じません。それでさっきよりもっと強くゆすりましたが、平気な顔をして、堂々と橋を渡り家に帰っていきました。 今まで、こんな立派な態度で橋を渡ったものはありませんでした。若者はやがて大金持ちになっていきました。 福の神は、たいそう感心しました。やっぱり働き者で何でも一生懸命にするんで、だんだんお金持ちになっていったんだなあ、なるほど、なるほど、となっとくしたそうです。 それから、この丸木橋を「ゆるぎ橋」と呼ぶようになりました。 |