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丹波篠山ロゴ篠山の民話集

ささやまのみんわしゅう 文・画 田中貞典


■ 大江山の鬼退治と六本柳

大江山の鬼退治と六本柳 平安時代の中頃のこと、多くの人々が次々に行方がわからなくなるという、まことに不思議なことが起こりました。
「昨日は、堀河中納言様の姫君が見えなくなったそうな。」
「いったい、どこへ消えてしまうのじゃ、恐ろしいことよ。」
 時の帝(天皇)は、このことを深く悲しみ陰陽博士に占わせることにしました。
「これより西、丹波の大江山に酒呑童子と名乗る鬼の頭がいる。すみやかに退治せよ」という結果が出ました。
 勅命を受けた源頼光は、坂田金時、卜部季武、渡辺剛、碓井定光、平井保昌、の一行をしたがえ、丹後見物に行くというふれこみで出発しました。総勢1000余騎になりました。道すがら、三岳の宝塔をおがみ、
「首尾良く退治ができますように、目的が達せられましたら、この金剛杖が芽を出し、六本の柳が育ちますように・・・・。」
 と、お祈りしました。
 大江山の麓についた頼光は、
「もし、討ちそんじた時は、三方から攻め上がって討ち取れ。」
といって、軍勢は、麓にとどめておいて、六人だけで山伏の姿で山上の岩屋へ登っていきました。
「道に迷った山伏です。一夜の宿をお貸し下さらぬか。」
と、頼んで、酒をすすめ眠っているすきを見て、鬼どもの首をみごとに討ち取りました。このとき、岩屋から救い出された人は、十三人だったと言われています。
 頼光の植えたと言われる。上宿の六本柳は、枯れてしまって、今はありません。一本あるのはずい分、後になってから植えられたものでしょう。