ホーム > 地域情報データベース > 篠山の民話集 > 弥十郎が嶽 |
ささやまのみんわしゅう 文・画 田中貞典 |
■ 弥十郎が嶽弥十郎が嶽は篠山市では三嶽に次ぐ高い山です。頂上あたりには海見岩もあり、晴れた日には頂上からはるかに高砂あたりの海が見えるといわれています。また、西の尾根に波々伯部氏の居城あとがあり、そのすぐ南の谷間に岩窟があります。この岩窟は行基の修業した岩窟であるといわれています。 また、畑市側にも同じくらいの岩窟がありますが、どちらも岩窟の前に谷川があり人が住むのにはとてもよい所です。 畑市側の岩窟には弥十郎という又鬼(猟師)が住んでいたと言われています。 猟をして捕ったえものの肉を畑市の市場へ持ってきて米や野菜と交換してまた山へ持ち帰り山で暮らしていたのでしょう。 市場では、弥十郎が肉を持ってきてくれるのを待っています。 「あっ、弥十郎さんが来たぞ。何の肉やろう。」 「いのししの肉や。」 「いのししは山のダニというてなぁ、捕っても捕っても増え るんや。田んぼやはたけをあらされると百姓は泣くにも なけん。」 「弥十郎さんがまた、山へ帰っていく。」 だれがいいだしたのか、この山を弥十郎と呼ぶようになりました。 |