篠山城下町地区が都市景観大賞(国土交通大臣賞)を受賞しました
このたび、篠山市及び篠山まちなみ保存会による「篠山城下町地区」での取り組みが評価され、平成26年度都市景観大賞の都市空間部門で最高位である「大賞(国土交通大臣賞)」を受賞しました。
都市景観大賞(主催:「都市景観の日」実行委員会、後援:国土交通省)は、良好な都市景観を生み出す優れた事例を選定し、その実現に貢献した関係者を顕彰し、広く一般に公開することにより、より良い都市景観の形成を目指すもので平成3年に創設され、平成23年から「都市空間部門」と「景観教育・普及啓発部門」の2部門が創られ、現在に至っています。
平成26年度は、全国から16件の応募が寄せられ、「都市景観の日」実行委員会内に設置される都市景観大賞審査委員会(委員長:陣内秀信 法政大学教授)において、応募図書等をもとに、内容を審査(書類選考、現地視察)された結果、篠山市及び篠山まちなみ保存会から応募した「篠山城下町地区」が「城下町の城、武家屋敷群、商家群からなる美しい伝統的町並みをもち、10年前(平成16年12月10日に選定)に国の重要伝統的建造物群保存地区に選定されて以降も、その財産を磨き上げる努力が重ねられ、古い建物の修理・再生・活用の活動をボランティア、専門家、NPO等が継続的に担い、生き生きとした町づくりを実現している」として高く評価され、「大賞(国土交通大臣賞)」に選定されることになりました。
なお、表彰式は6月16日に東京都内で行われた「まちづくりと景観を考える全国大会」において執り行われました。
1 大賞受賞地区名及び面積
大賞受賞地区名 : 篠山城下町地区
面積 : 約140ヘクタール
2 篠山城下町地区の概要
篠山城下町は、兵庫県の中東部に位置する篠山市の中央に所在します。篠山城跡を中心に、武家地や町人地の町割りを残し、武家屋敷や近世から近代にかけて建てられた商家及び寺院など、城下町の要素を全体としてよく残しています。
こうした城下町の景観を保全するため、昭和40年代から町並み保存に向けた活動、昭和50年代後半から継続して取り組んでいる街路事業や歴史的建造物の保全、そして平成10年代からの伝統的建造物群保存地区(伝建地区)制度導入と景観法の活用による保全制度の整備などに取り組んだ結果、年々美しい景観になり、地区の住環境、住民意識の向上につながっています。こうした長年の景観形成・保全の取り組みによって、近年では市民、関係団体などによる「丹波篠山・アートフェスティバル」などに代表される自主的な活動も活発に行われるようになり、町の活性化や町の新たな魅力創出、交流人口の増加などにつながっています。
3 審査講評
篠山城下町地区は、慶長14(1609)年に篠山城を中心とする城下町が形成されて以来、その町割りと建物はほとんど保全されている。特に平成5(1993)年兵庫県が条例に基づき「歴史的景観形成地区」の指定をしてからは、建物の修理修景や環境整備が進み、地域住民の景観保全の意識も大きくなった。さらに平成16(2004)年、国の「重要伝統的建造物保存地区」に選定後、「篠山まちなみ保存会」が設立され、住民、専門家、行政の三者連携のまちづくりが進んでいる。
特に、地元の「NPO法人町なみ屋なみ研究所」が活用されていない古民家の空き家の買い取りや10年間の無償賃借契約を結び、市民ボランティアによる修理を実施し、新たな担い手に売却、賃貸する民間ベースの保全の取組みを行っていることは評価できる。また、近年は「丹波篠山・まちなみアートフェスティバル」、「ササヤマルシェ」、「丹波篠山ひなまつり」、「丹波篠山とってもレトロな町歩き」、「古い町並みナイトウォーク」、「竹民具・竹玩具づくり」、「こどもスケッチ大会」等、町の活性化の試みが極めて活発であることも大きな特徴である。
行政の取り組みに加えて、これらの市民活動によって市民が誇りを取り戻し、さらにIターンやJターンを含めて交流人口を増やしていることから、都市景観大賞にふさわしい地区と判断する。
※引用文献:『平成26年度都市景観大賞 「都市空間部門」受賞地区の概要及び「景観教育・普及啓発部門」受賞団体の活動の概要』 「都市景観の日」実行委員会 平成26年(PDF:2.6MB)
4 評価された取り組みなど
◆「篠山伝建地区内の伝統的建造物」「旧篠山地方裁判所」「旧篠山町役場庁舎」「篠山小学校校舎・講堂」など歴史的建造物の保全を進めていること。
◆廃藩以降荒廃していた篠山城跡について昭和40年代から継続して保存修理を進めていること。
◆住民組織や建築士、NPO、行政などが連携して、伝建地区内の現状変更のチェックや指導、修理修景物件の選定、古民家再生などに取り組んでいること。
◆「丹波篠山歴史的地区環境整備街路計画」に基づき、道路整備、道路美装化、電線類地中化などによる景観の形成を昭和50年代後半から継続して進めていること。
◆市民主体による「丹波篠山・まちなみアートフェスティバル」、「ササヤマルシェ」など多彩なイベント活動が行われていること。
◆街路整備や建築物等の修理修景が進み、古民家を活用したギャラリー、カフェ、雑貨店なども増加し、様々なイベント等が継続的に開催されることによって、地区の魅力が高まり、雑誌やテレビなどで取り上げられる機会も増え、各種事業に取り組む前と比べると観光客数が大幅に増加していること。
◆景観法に基づく景観計画区域であり、建築物等に一定のルールがあること。
◆地区の一部は重要伝統的建造物群保存地区に選定されており、文化財保護法に基づく景観保全を図っていること。
◆城下町地区の取り組みが進むにつれて、地区以外でも伝建制度が導入されたり、茅葺き民家が多く残る集落景観を生かして古民家を宿泊施設にしたり、町並みを生かしたイベントが開催されるなど、市内各所で景観を生かした地域づくりが広がりつつあること。
5 篠山城下町地区への交通案内
【鉄道】
JR福知山線「篠山口駅」下車(大阪駅から快速で約1時間)、神姫グリーンバス「西町」停留所~「本篠山」停留所、もしくはタクシーをご利用下さい(駅から地区までバスもしくはタクシーで約15分) 。
【自動車】
舞鶴若狭自動車道「丹南篠山口IC」から東へ約10分、または国道176、372、173号線をご利用下さい。
篠山城跡周辺の駐車場(有料)をご利用下さい。
【地図】
▼Googleマップ(外部リンク)
6 その他
国土交通省の広報誌『国土交通』のNo.129(2014.12-2015.1)で「訪れたいまち 兵庫県篠山市」として紹介されました。
平成26年7月25日に放送した「まるいのTV」で篠山まちなみ保存会が出演し、都市景観大賞受賞について説明しました。
過去の兵庫県内での都市空間部門受賞地区
(1)平成23年度大賞 : ガーデンシティ舞多聞みついけプロジェクト地区(神戸市)
(2)平成24年度大賞 : 甲陽園目神山地区(西宮市)
詳細は事務局の(公財)都市づくりパブリックデザインセンターのホームページをご覧下さい。